口腔機能発達不全症
- Q. お口のポカンを放っておくと、どうなるのですか?
- A. 歯並びだけでなく、全身の健康や学習面にも影響が出る可能性があります。口が開いたままの「口呼吸」が習慣化すると、お口の中が乾燥して虫歯や歯周病、口臭の原因になります。さらに、ウイルスが直接体内に入るため風邪やアレルギーを引き起こしやすくなったり、睡眠の質が低下して日中の集中力が続かなくなったりすることもあります。早めに「鼻呼吸」の習慣をつけることが大切です。
- Q. 食べるのがとても遅いのですが、これも機能の問題でしょうか?
- A. はい、お口の周りの筋肉や舌の使い方が未発達な可能性があります。噛む力が弱かったり、舌で食べ物を上手にまとめられなかったりすると、飲み込むまでに時間がかかってしまいます。また、逆に「丸呑み」をしてしまうケースも同様です。トレーニングで正しく噛み、飲み込む力を育てることで、食事の時間がスムーズになり、栄養の吸収も良くなります。
- Q. 滑舌(かつぜつ)が悪いのも、このトレーニングで治りますか?
- A. 舌の動かし方や位置が原因であれば、改善が期待できます。特に「サ行」や「タ行」が聞き取りにくい場合、舌が歯の間から出てしまう「舌癖(ぜっぺき)」が関係していることが多いです。口腔筋機能療法(MFT)で舌を正しい位置(スポット)に置けるようトレーニングすることで、発音が明瞭になり、コミュニケーションへの自信にも繋がります。
- Q. トレーニングは自宅で毎日やる必要がありますか?
- A. はい、1日3〜5分程度の簡単な練習を毎日続けることが最も効果的です。スポーツやピアノの練習と同じで、お口の筋肉も「習慣」にすることで定着します。当院では、お子さまが飽きずに続けられるよう、遊びの要素を取り入れた楽しいトレーニングメニューをご提案しています。親御さまは「頑張ったね!」と一緒に楽しむ気持ちでサポートしてあげてください。
- Q. 何歳から何歳までが、トレーニングの適齢期ですか?
- A. 3歳頃から12歳頃までが、最も改善を実感しやすい時期です。お口の機能や骨格が大きく成長するこの時期に介入することで、自然な発達を促すことができます。12歳を過ぎてからでも改善は可能ですが、成長期に始める方が、歯並びや顔立ちの形成においてより大きなメリットを得られます。
- Q. 診断にはどのような検査をするのですか?
- A. 専用の機器や観察を通じて、痛みなく楽しく検査を行います。
口唇閉鎖力検査: 唇で引っ張る力を測る、つなひきのような検査。
舌圧検査: 風船を舌で押しつぶすような感覚で、舌の力を数値化する検査。
お子さまにとっては「ゲーム」のような感覚で受けられるものばかりですので、ご安心ください。
「お口のポカン」はSOSのサイン。一生の健康を左右する「お口の育て方」
「いつも口がぽかんと開いている」
「食べ方がクチャクチャと音を立て、飲み込むのが苦手そう」
「話し方がはっきりせず、聞き取りにくい」
「いびきをかいたり、寝相がひどく悪かったりする」
もし、お子さまにこのような様子が見られたら、それは単なる「癖」や「性格」ではないかもしれません。
それは、お口の周りの筋肉や機能が正しく育っていない「小児口腔機能発達不全症(しょうにこうくうきのうはったつふぜんしょう)」という状態のサインである可能性があります。
お口の機能は、単に「食べる」だけでなく、「呼吸」「発音」「顔立ちの形成」まで、お子さまの全身の成長に深く関わっています。
松本歯科医院では、この「お口の育ち」のわずかな遅れを見逃さず、一生の健康を守るための専門的なサポートを行っています。
小児口腔機能発達不全症とは?
「小児口腔機能発達不全症」とは、食べる、飲む、話す、笑うといった、お口の基本的な機能が正常に発達していない、あるいは獲得できていない状態を指します。
2018年から保険診療の対象となった比較的新しい概念ですが、現代のお子さまの食生活の変化(柔らかい食べ物が増えたことなど)により、この症状を持つお子さまが急増しています。
お口の機能が正しく発達しないと、以下のような「負の連鎖」を招くリスクがあります。
口呼吸の常態化
鼻ではなく口で息をするようになり、免疫力の低下を招く。
歯並びの悪化
舌や頬の筋肉のバランスが崩れ、歯が綺麗に並ぶスペースがなくなる。
顔立ちへの影響
顎の発育が不十分になり、面長な顔立ちや二重顎の原因になる。
チェックリスト:お子さまにこんな症状はありませんか?
日常生活の中で、以下の項目に当てはまるものがないか確認してみてください。
「食べる」時の様子
食べるのが異常に遅い、またはあまり噛まずに丸呑みしている。
クチャクチャと音を立てて食べる。
硬いものを避け、柔らかいものばかり好む。
飲み込む時に、舌が歯の間から突き出たり、顔をしかめたりする。
食事中に何度も飲み物(水やお茶)で流し込んでいる。
「お顔・呼吸・姿勢」の様子
テレビを見ている時などに、ぼーっと口が開いている(口ぽかん)。
口を閉じようとすると、顎の先に「梅干しのようなシワ」ができる。
いびきをかく、または寝ている時にいつも口が開いている。
姿勢が悪く、猫背気味である。
「話し方」の様子
「サ行」や「タ行」がはっきりせず、舌っ足らずな話し方をする。
言葉が不明瞭で、何度も聞き返されることがある。
なぜ「お口の機能」が重要なのか?全身への影響
お口は、体の中に空気や食べ物を取り入れる「入り口」です。
この機能が損なわれることは、全身の健康に直結します。
① 「鼻呼吸」と「口呼吸」の大きな違い
本来、人間は鼻で呼吸する生き物です。
鼻は「天然の高性能空気清浄機」であり、細菌やウイルスをブロックし、空気を適切な温度・湿度に整えて肺へ送ります。
しかし、お口の筋肉が弱いと「口呼吸」が常態化します。
口呼吸は、汚れた冷たい空気を直接体内に取り込むため、アレルギー疾患、扁桃炎、さらには脳への酸素供給不足による集中力の低下を招くことが指摘されています。
② 歯並びと顎の発育
歯並びを整えるのは「矯正装置」だけではありません。
実は、「内側からの舌の押し出す力」と「外側からの唇・頬の抑える力」のバランスによって、歯は正しい位置に並びます。
機能が未発達だと、このバランスが崩れ、将来的に高額な矯正治療が必要になるリスクが高まります。
③ 睡眠の質と成長
お口の機能が低いお子さまは、睡眠中に舌が喉の奥に落ち込みやすく、睡眠時無呼吸に近い状態(いびき等)になることがあります。
ぐっすり眠れないことで成長ホルモンの分泌が阻害され、心身の発育に影響を及ぼす可能性もあります。
4. 当院での治療・トレーニング(MFT)の進め方
松本歯科医院では、お子さまが楽しみながら取り組めるプログラムを用意しています。
① 精密な検査・診断
まずは、お口の中の診察だけでなく、専用の測定器を用いて「唇の力(口唇閉鎖力)」や「舌の力(舌圧)」を数値化します。
どこに発達の遅れがあるのかを科学的に分析し、お子さま専用の計画を立てます。
② 口腔筋機能療法(MFT)
MFTとは、お口の周りの筋肉のバランスを整え、正しく機能させるための「お口の筋トレ」です。
舌のトレーニング
舌を正しい位置(スポット)に置く練習。
唇のトレーニング
ボタンやつなひきのような道具を使い、唇を閉じる力を養う運動。
飲み込みの練習
舌を正しく使って、音を立てずに飲み込む練習。
③ ご家庭でのサポート指導
「あいうべ体操」など、毎日親子で楽しく続けられるトレーニング方法を伝授します。
週に一度の通院よりも、毎日の数分の習慣が、お口の機能を改善する一番の近道です。
