顎関節症
-
- STEP 1初診・問診
- 症状の経緯、生活習慣などを詳しく伺います。
-
- STEP 2精密検査
- 口の開き具合の測定、筋肉の触診、噛み合わせのチェック、X線・CT撮影。
-
- STEP 3診断・治療計画の説明
- 専門医の視点から、現在の状態と原因、治療期間を詳しく説明します。
-
- STEP 4治療開始
- スプリント作製、物理療法、生活指導などを並行して行います。
-
- STEP 5定期観察・メンテナンス
- 症状の改善具合を確認し、必要に応じてマウスピースの調整を行います。
- Q. 顎がカクカク鳴るのですが、痛くなければ放っておいても大丈夫ですか?
- A. 痛みがないからといって、必ずしも「安心」とは限りません。
音が鳴るのは、顎の関節にある「関節円板(クッション)」が本来の位置からズレている証拠です。
そのまま放置すると、ある日突然クッションが完全に引っかかり、口が開かなくなる「クローズドロック」という状態になるリスクがあります。
専門医としては、音が鳴り始めた段階で一度検査を受け、今の状態を把握しておくことをお勧めします。 - Q. 顎の痛みだけでなく、頭痛や肩こりもひどいです。関係ありますか?
- A. 非常に密接な関係があります。
顎を動かす筋肉は、側頭部(頭の横)や首、肩の筋肉と連動しています。
顎関節症でこれらの筋肉が常に緊張状態にあると、緊張型頭痛や慢性的な肩こりを引き起こすことが多々あります。
専門医の治療で顎の緊張が取れると、長年悩んでいた頭痛や肩こりが劇的に改善されるケースも少なくありません。 - Q. マウスピース(スプリント)は市販のものとどう違うのですか?
- A. 目的と精度が全く異なります。
市販品は主に「歯の摩耗を防ぐ」ためのものですが、当院で作製するスプリントは、顎の関節を「最も負担の少ない理想的な位置」へ誘導するための治療器具です。
専門医がミリ単位で噛み合わせのバランスを調整し、顎関節の内部を安静に保つよう設計します。
適合が悪いマウスピースは逆に症状を悪化させることもあるため、専門医による精密な作製が不可欠です。 - Q. 顎関節症は、ストレスが原因と言われるのはなぜですか?
- A. ストレスが「無意識の食いしばり」を引き起こすからです。
ストレスを感じると、脳が指令を出して無意識に食いしばりや歯ぎしり(TCH)をしてしまいます。
これが長時間続くと、顎関節に数百キロの荷重がかかり続け、組織が悲鳴をあげて発症します。
当院では「マウスピースで守る」だけでなく、ストレスとどう向き合い、いかに食いしばりの癖に気づくかという「認知行動療法」も重視しています。 - Q. 顎関節症は一度治っても、また再発しますか?
- A. 生活習慣が変わらなければ、再発の可能性はあります。
顎関節症は「生活習慣病」に近い側面があります。
治療で一度痛みが取れても、再び「頬杖をつく」「片側だけで噛む」「猫背でスマホを見る」といった習慣が続くと、顎に負担が蓄積します。
当院では再発防止のため、治療後のメインテナンスやセルフケアの指導にも力を入れています。 - Q. 顎の関節が「ジャリジャリ」と音がするのは、何が起きているのですか?
- A. 顎の骨の形が変化している(変形性顎関節症)可能性があります。
「カクカク」という音(クッションのズレ)とは異なり、「ジャリジャリ」という擦れるような音は、骨と骨が直接接触し、摩耗し始めているサインかもしれません。
特に中高年の方に多く見られます。
この場合は、CT撮影などで骨の状態を正確に把握し、進行を食い止めるための専門的なアプローチが必要になります。 - Q. 治療期間はどのくらいかかりますか?
- A. 症状によりますが、目安として3ヶ月〜半年程度です。
急性の痛みであれば数回の通院で和らぐことも多いですが、関節の動きをスムーズにしたり、生活習慣を改善して安定させたりするには数ヶ月の経過観察が必要です。
専門医が症状の推移を見極め、段階的に治療を進めていきます。 - Q. 他院で「噛み合わせを治すために、歯をたくさん削りましょう」と言われました。
- A. 一度立ち止まって、専門医に相談することをお勧めします。
現在の顎関節症の国際的な治療ガイドラインでは、「初期治療として歯を削るなどの元に戻せない処置は避けるべき」とされています。
まずはマウスピースや理学療法などの「身体に優しい治療」を優先すべきです。
当院では、顎の状態を安定させる前に安易に歯を削ることはいたしません。
長引く顎の痛み・違和感を根本から解決するために
顎関節症は、一生のうちに2人に1人は経験すると言われるほど身近な疾患です。
しかし、その原因や治療法は非常に多岐にわたるため、適切な処置を受けられずに「通院しているけれどなかなか良くならない」と悩む方が多いのも事実です。
松本歯科医院では、日本顎関節学会専門医(副院長)が中心となり、エビデンス(科学的根拠)に基づいた高度な専門外来を行っています。
なぜ「専門医」の診断が重要なのか?
顎関節は、人体の中でも極めて特殊な構造をしています。
左右の関節が同時に動き、回転しながらスライドするという複雑な動き(滑走回転運動)を担っているからです。
「音」や「痛み」の正体を見極める
口を開ける時の「カクッ」という音。
これは、関節のクッションである「関節円板」がズレているサインかもしれません。
一方、「ジャリジャリ」という音は、骨同士が擦れ合っている変形性顎関節症の可能性があります。
専門医は、触診・運動検査・画像診断を組み合わせ、以下の4つのタイプのうち、どれに該当するかを瞬時に見極めます。
咀嚼筋障害(1型)
顎を動かす筋肉の凝りや痛み
関節包・靱帯障害(2型)
関節を包む組織の炎症
関節円板障害(3型)
クッションのズレ
変形性関節症(4型)
顎の骨自体の変形
タイプが違えば、治療法も全く異なります。
この正確な「仕分け」ができるのが専門医の強みです。
顎の痛みは「全身の不調」のサイン
顎関節症は、単にお口の中だけの問題ではありません。
顎の周りには多くの筋肉や神経が密集しており、全身のバランスと密接に関わっています。
姿勢と食いしばりの悪循環
デスクワークやスマートフォンの操作による「猫背」「巻き肩」は、下顎を後ろに押し込み、顎関節への負担を増大させます。
また、ストレスによるTCH(上下歯列接触癖)、つまり無意識に上下の歯を触れ合わせる癖は、筋肉を常に緊張させ、顎の痛みだけでなく「緊張型頭痛」や「慢性的な肩こり」を引き起こします。
当院では、顎だけを見るのではなく、姿勢の指導や生活習慣の改善提案を含めた、包括的なアプローチを行います。
誠実なインフォームドコンセント(説明と同意)
顎関節症は、患者さまご自身の理解と協力が不可欠な疾患です。
「なぜ痛むのか」を可視化
CT画像や模型、イラストを用いて、現在の顎の状態を分かりやすく説明します。
ゴール設定の共有
「音を消すこと」がゴールなのか、「痛みなく食事ができること」がゴールなのか。
患者さまの希望を伺い、納得感のある治療計画を共に立てていきます。
「顎の不調はどこに相談すればいいのか分からない」というお声をよく耳にします。
専門医としての知識はもちろん、患者さまの「辛さ」に寄り添い、丁寧にお話を伺うことを最も大切にしています。
顎の違和感を、毎日を健やかに過ごすための「サイン」と捉え、一緒に改善していきましょう。
顎関節症セルフチェックシート
以下の項目の中で、当てはまるものにチェックを入れてみてください。
症状に関するチェック
【生活習慣に関するチェック】
チェックの結果とアドバイス
チェックが0〜1個の方
現在のところ、顎関節症の可能性は低いと考えられます。
しかし、生活習慣(食いしばりや姿勢)に心当たりがある場合は、予防のために「歯を離す」「姿勢を正す」ことを意識してみましょう。
チェックが2〜4個の方
顎関節症の予備軍、あるいは軽度の症状がある可能性があります。
まだ強い痛みがなくても、関節内のクッション(関節円板)がズレ始めていたり、筋肉が疲労していたりする状態です。
これ以上悪化させないために、一度専門医による診察を受け、マウスピース(スプリント)の検討や生活指導を受けることをお勧めします。
チェックが5個以上、または「痛み」がある方
中等度〜重度の顎関節症の疑いがあります。
放置すると、顎の骨が変形したり、ある日突然口が全く開かなくなったり(クローズドロック)する恐れがあります。
当院の副院長(日本顎関節学会専門医)による精密な検査が必要です。
早めにご相談ください。
日本顎関節学会専門医による「削らない・切らない」保存的療法へのこだわり
当院では、一度行うと元に戻せない治療(健康な歯を削って噛み合わせを変える、外科手術をするなど)をいきなり行うことはありません。
まずは身体に優しい「保存的療法」で症状の緩和を目指します。
オーダーメイド・スプリント(マウスピース)
専門医がミリ単位で調整を行う、精密なマウスピースを作製します。
顎関節への負荷を軽減し、筋肉の緊張を解くことで、痛みや開口障害を改善します。
マニピュレーション(徒手療法)
関節円板が引っかかって口が開かなくなった場合(クローズドロック)、専門医の手技によって円板を正しい位置へ導き、開口をスムーズにする処置を行います。
理学療法(ストレッチ指導)
顎の周りの筋肉をほぐすためのマッサージやストレッチを指導します。
ご自宅でのセルフケアを習慣化していただくことで、再発を防ぎます。
「認知行動療法」:生活習慣へのアプローチ
顎関節症の真の原因は、日常生活の「無意識の癖」に隠れていることが非常に多いです。
TCH(上下歯列接触癖)の改善
通常、食事以外で上下の歯は触れ合っていないのが正常です。
仕事中やスマホ操作中に無意識に歯を接触させる癖(TCH)を自覚し、改善するための行動指導を行います。
姿勢とストレス管理
猫背などの姿勢の崩れや、過度なストレスによる食いしばりが顎に与える影響を解説し、ライフスタイル全体を整えるアドバイスを行います。
治療の流れ
顎関節症に関するよくある質問(FAQ)
